おやぢ会館
別室
レゴべや

レゴ芸会

「三国志」名場面集
Last update on 01/12/25




第八回「七星宝刀」

中華万民を統べる実質上の最高権力者【董卓】の暴政は留まるところを知らない。
「兵の訓練」や「盗賊狩り」と称しては、都近隣の街・村を襲い、何の罪も無い人々を虐殺し婦女を攫い金品を略奪するのが日常茶飯事。
先行きに絶望した廷臣のある者は自分の領地へ隠遁し、ある者は諫言してクビにされ(【董卓】の機嫌が悪いとホントに首切り…)、またある者は宮中で斬りかかるが失敗し、逆に命を落とす羽目になった。

朝廷の元老・大臣の【王允】は都から逃げることを潔しとせず朝廷に残った。【董卓】の非道をやんわりと諌めることで多少の抑えになってはいるものの所詮は焼け石に水である。
皇帝への忠誠心と自分の力の至らなさの間で思い悩み鬱々と過ごしてしていたが、少しでも気晴らしをと考え、引退した旧臣や、古くからの同僚をあつめて自邸でバースデーパーティーを開いた。
皆が杯を重ねるうち、突然【王允】が泣き崩れた。
【客】「めでたい誕生日に何を泣かれるのですか…」
【王允】「最近の【董】閣下のなされようや身罷られた先帝のこと、今上陛下の境遇を思うと、国の行く末がどうなってしまうのかと…ぅぅぅ…」
集まった面々は、【董卓】に歯向かうまでは出来ないが、それぞれ漢帝国への忠誠心は持ち合わせている良臣であったため、やり切れぬ思いに揃って涙を落とした。
そんな中、一人だけ笑い出した者が居た。見れば、先の黄巾討伐で名を挙げ近衛騎兵隊長に抜擢された若手官僚【曹操】である。今日はかつて【王允】の同僚であった父【曹嵩】の名代として誕生会に参加していた。

【王允】「【孟徳】(曹操のあざ名)殿も代々帝の恩を受けた家柄、笑うとは不謹慎ではありませんか。」
【曹操】「もちろんそれがしも帝や国を思う気持ちは誰にもに劣るつもりはありませぬ。ただ、【董卓】を泣き殺すことができるならいざ知らず、皆様がこうして集まりながら、国を救う策の一つも出ないのを笑ったまで。それがしが日ごろ【董卓】に取り入っているのは、信用を勝ち取っておいて暗殺の決行を確実にするため。」

酔った勢いの発言のような気がしないでもないが、藁にも縋る思いの良臣たちは【曹操】の「策」を聞き出した。 それは、【王允】の家に代々伝わる名刀「七星宝刀」を【董卓】に献上するフリをしてその刀でグサリとやる、というのもであった。

「七星宝刀」を託された【曹操】は、次の日の朝いつものように「ご意見伺い」のため【董卓】の私邸に乗り込んだ。警備の兵も日ごろ「腹心」のように振舞っている【曹操】には安心しているため、中まで楽々素通りである。
【董卓】「おお、【曹操】か。今日はちょっと来るのが遅いではないか。」
【曹操】「ははっ。それがしの馬が最近どうも調子が悪くて…(ちっ、【呂布】がいるのでは、暗殺は無理か…)」
【董卓】「そうかそうか。騎兵隊長の馬がヘボではイカンのぅ。【呂布】よ、厩から飛び切り元気のいいのを一頭みつくろってきてやれ。【呂布】は馬マニアでのぅ、目は確かよ。」
【曹操】「（ラッキー！！邪魔者がいなくなる…）」


昨日呑みすぎで二日酔いだという【董卓】は寝椅子で横になり【曹操】の業務報告を聞いていたが、そのうちコックリコックリしてイビキをかきながら反対向きに寝返りを打った。これぞ天の与えた絶好のチャンスとみた【曹操】は「献上作戦」を変更した。直接刺し殺すためにゆっくり近づき「七星宝刀」を鞘から抜いたその時・・・
刀身に反射した光が鏡を伝い【董卓】のまぶたに射し込んだ！
【董卓】「んん…つい寝てしまっ…ん！？【曹操】一体何の真似じゃ！？」
【曹操】「あ、いやこれは…」

とっさのことではあったが、ダメ元で当初の計画通り「献上」するシナリオに再び切り替えた。
【曹操】「これなるは『七星宝刀』と申す天下に並びなき名刀。今日は【董】閣下からの日ごろのご恩にわずかでもお返しできないかと思い、ご献上差し上げるため持参いたしました。まずは、この刀身をご覧下さいませ。」
しらじらしくも、抜いた刀を【董卓】に差し出した。寝起きの【董卓】は言われるまま受け取るとしげしげと眺めた。確かに柄に宝玉を嵌めた逸物。丁度馬を曳いて戻ってきた【呂布】には、鞘を渡した。こちらも、金象嵌・宝玉満載の名品。
作戦失敗の【曹操】は、貴金属大好きの２人が「七星宝刀」に見惚れている隙に馬の試乗をすると言い、庭をゆっくりと走らせていたが、こっそり鞭をくれて全速力で駆け出した。
【曹操】「流石は【呂】将軍のお見立て、稀に見る良い馬でご…うひゃー！そっちへ行ってはならぬ〜！誰か止めて〜〜〜！！」
迫真の演技で【董卓】邸から逃げ出した。

さすがにこのまま怪しまれずに済みはしないと考えた【曹操】は、幸い身内や財産を住まいである官舎には置いていなかったということもあり、そのまま都から逐電し、東のかた故郷の《陳留》へ向けて駆けた。
しばらくして様子が変だと思った【董卓】は、【李儒】に命じて【曹操】を探させたが、官舎にはおらず、都の門から全速力で馬を走らせていたという報告を聞くことになる。遅まきながら「暗殺未遂」であったことに気づき、大激怒。今まで【曹操】に特に目をかけていたこともあり、可愛さ余って憎さ100倍。高額賞金付きの「人相書き手配書」を各地の関所に大急ぎで配った。

[第九回「曹操東奔」へ続く]

●今日の楽屋●
今回の場面写真の構想メモ。
以前はかなり行き当たりばったりで作りましたが、最近はこういうのを事前に 書くようにしています。このほうが多少効率よく作れるようです。
茶色ダメ部品(ドロイドファイターの足)の用途が遂に見つかりました！
こういう発見(？)は嬉しいです。




[レゴ芸会トップへ戻る]

[レゴべやトップへ戻る]

[おやぢ会館トップへ戻る]

(c)2001 ayucow